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内容と目次 [Beyond Talentについて]

 Beyond Talentは、アメリカ・ボストンにあるニューイングランド音楽院キャリアサービスセンターのディレクターである、アンジェラ・M・ビーチングさんが書いた「音楽家という仕事」についての、いわばマニュアル本です。
 音楽家として生きていくための、気構え、心構えから、仕事人としてのお作法、社会との関わり、仕事を得るための情報収集の方法から売り込みの具体的なノウハウ、自らプロジェクトを立ち上げて完遂させるまでの起業家的取り組みの具体例、等々が、とても丁寧に書かれています。
 アンジェラ自身が日本語版序文に書いているように、この本は、「成功は自ら勝ち取る、努力をすれば報われる(努力しないと報われない)」というアメリカの精神風土を背景に持っています。でも、音楽家として生きるということは、どこかの会社に雇われて生きるというのと、本質的に違うところがある、という点では、日本もアメリカも一緒。
 仕事柄、音楽を目指す若い人たちから相談を受けたり、応援を頼まれたりすることがあるのですけれど、自分の無力に申し訳ないと思うばかりで、いろいろ思い悩んでいたころに出会ったのが、アンジェラであり、そのとき彼女が書いていたこの本でした。
 このたった一冊の翻訳書が、日本の音楽家の状況を一変させるような力をもっているはずもありませんが、せめて、何かのヒントになれば、と思っています。直面する問題をいたずらに悩むのではなく、この本に書いてあることをもとに、その問題の本質と、悩みの理由を見極めて、打開策を積極的に考えていきましょう。
 以下、Beyond Talentの目次です。

はじめに
序章 あるキャリア・カウンセラーの告白
第1章 音楽で成功するということは
第2章 人脈をつくる - 成功は気取らないおしゃべりから
第3章 イメージづくり - 「使える」売り込み資料をつくる
第4章 さらに活動を広げていくために - デモ音源とCD
第5章 インターネットで売り込み!-キャリアづくりの活用法
間奏曲 根源的な問い
第6章 プロのように出演契約をとりつける
第7章 評判を上げる、お客をつける - メディアや広報の活用法
第8章 聴き手とつながる - レジデンシー、教育普及と地域プログラム
第9章 最高の演奏をするために
第10章 フリーランスのライフスタイル - 仕事、時間、お金をマネージメントする
第11章 プロジェクト実現のためのファンドレイジング
第12章 そして、あなたのキャリアは?

 
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コメント 6

TH

日本の音大で勉強し、仕事もした後、現在ドイツに留学して勉強しているものですが、やくぺん先生のサイトでこの本の存在を知り、日本からちょうど旅行でやって来た友人にこの本を運んで貰って、どうにか入手することが出来ました!
まだ全ては読んでいませんが、まさにこの本に書いてあるような問題に気づいてはいたものの、問題の本質を具体的に理解して解決法を見出せずにいた自分にとっては福音の書となりそうです。読み終わったら音楽家の友人達にもススメまくります。
日本語版を作っていただいてありがとうございました!紹介されなければ原書の存在すら知らずに終わってしまっていたと思います。
by TH (2008-09-15 01:53) 

Minochan

ありがとうございました。
この本は「おばあちゃんの知恵袋」みたいなところがあって、実際に問題や課題に直面していたり、悩んでいる人には、その場で役に立つ知恵が書かれています。逆にいうと、「切実」でないと、あんまりピンとこないかも。

このブログは、そんな知恵の「日本語版」を作っていきたいとも思っているので、疑問や質問、こうしたらいいとか、こんなのはどうだろうか、とか、こんな課題もあるのでは、みたいなことを、寄せていただけると、とてもうれしいです。
by Minochan (2008-09-15 23:28) 

Chat noir

Minochanさま

ビヨーンとAmazonに飛んで「Beyond Talent 日本版」に行きついたら、
「この商品を買った人はこんな商品も買っています」の中に、
「フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。」
という本が入っていました。
音楽家の切実な日常がうかがえます・・・。
by Chat noir (2008-09-30 14:03) 

Minochan

レスが遅くなって済みません。
いただいた連絡にはすぐに応える、これが基本…なんてことも、BTにはかいてありますのにねえ。平にご容赦。
はい、そうです、税金の問題は(問題problemではなくて、issue)フリーランスには重要なこと。実に多くの音楽家(特に仕事を始めたばかりの人)が「損」をしています。
ちょっとがんばって還付を受けると、ちょうどそれで、国民健康保険と年金を払えるくらいのお金がでてきますよ。これで日々の安心と将来の安心(!?)が一度に手に入る。還付受けたからって、飲み屋に直行しないで、こうして足下支えていきましょー。
by Minochan (2008-10-11 11:16) 

南川しのぶ

はじめてコメントさせていただきます。「Beyond Talent」を拝見した者です。音楽家として生きていくには練習とステージだけではないはず、という思いから、「自分なりに考え付くあらゆる努力」をし続けて5年以上が経ちます。今回この本を手にして、自分のキャリアをさらに前進させるために、まだまだできることがたくさんあるとわかり、本当に力がみなぎるような気持ちがしています。1ページ毎に、無駄な講釈はなく、その分要求していることを満たすのに時間がかかります。その位、真摯に向き合う価値のある本に出会えました。素晴らしい本を翻訳してくださり、ありがとうございました。
by 南川しのぶ (2009-03-10 21:30) 

kie

minoさま
お久しぶりです。
3月に退職後、あらゆる面で落ち込んでみたり、「自己啓発本」を読みまくって現実逃避してみたりしています。。。
私は音楽家ではありませんが、「フリーランサー」としてやっていきたい、でもなんの専門知識もない、そして自己管理力の異常に弱い者として、自分にカツをいれてやろう、とさっそく本を注文しました。
要するに何事も徹底的にやってみようと思ったことのない自分、集中力のない自分、好奇心の薄い自分…というのを見つめなおすために、「じぶん年表」作ってみようかな、と思います。
頑張って原書で読むべきか?ともチラと思いましたが、でもminoさまの日本語で読みたいですから。
by kie (2009-06-23 19:29) 

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